海外のGKは逆に動かないイメージがありませんか?
インスタグラムで集めたアンケートの内容です。
自分はドイツ行く前も行った後も
同じ考えでした。
海外のGKは動けないがあっても
逆に動くことはかなり少ないと感じてます。
この記事では
・逆に動かないようにするための指導方法
・シュートを止めるための原則
・年代別の育成の重要性
がわかります。
今回の記事は15分以上で読めるかと思います。
長いですが読んでいただけると幸いです。
ハンドボールのセーブを可能にする止め方の3つの原則
セーブを可能にする3つの原則
・シュート方向側への移動
・通過前に配置する
・前方向への動き
Handballverband Niederrhein E.V. C -Lizenz
14歳から本格的に始めるGKの指導で
上記3つのうち
優先して教えることの1つが
「シュート方向側への移動」です。
なぜ3つの原則で指導の優先順位が違うのか?
- 「前方向への動き」ができないと
ボールの当たるポイントが並行になります
当たっても入ってしまう可能性が高くなります - 「通過前に配置する」ことができないと
遅れて当たる、またはボールが当たらない
どちらかが起こるので
当たらない可能性が高くなります。 - 「シュート方向への移動」ができないと
ボール方向に移動ができていないため
当てることすらできないです。
3つの原則の中で
唯一失点がほとんど確定するのが
「シュート方向への移動」です!
シュート方向と逆に動くという動作は
失点するからこそ
「シュート方向に行く」ことは
優先して指導しています。
指導の具体例
「逆に動かない」GKの育成法として
Interaktiv Ratingen
HC Düsseldolf
Klefeldの3チームを紹介します。
①怖い要因をなくす
止め方からアプローチする方法です。
結論から言うと
「顔を隠しながら守る」止め方です。
主にノーマーク系のシュートで
このように顔の前に手を配置して
「顔」を隠す方法です。
U14中学生、U16高校生は
シュートの精度が高くない一方で
シュートの威力は比較的高いです。
そんなシュートが
体の中心軸に当たったらどうでしょう?
シュートが怖くなり
方向がわかっていても動けなくなります。
特にダメージが大きいのは「顔」です。
脳震盪はもちろん
ボールが迫ってくるギリギリまで見えるので
恐怖心が芽生えやすくなります。
「顔」を守ためにも
反応して動けない6mからのシュートは
顔を腕で隠すセーブを指導することを
お勧めします。
②見るポイントを抑える[OFを見る]
「シュート方向に移動する」方法として
2つの方法があります。
1.打たれてから移動する方法
2.打てれる前の予測から移動する方法
どちらが正解/不正解ではなく
それぞれの方法に良し悪しがあり
使い分けをする必要があります。
2つの方法を実践するにあたり
共通して見る「視点」があります。
結論を先に言うと
見るべき視点は一貫して
「シューター」優先です。
ポストやサイドであれば
見るべき視点はシューターになります。
問題は「ロングシュート」の時にどのように見るか。
3つの視点の指導が日本でされています。
- シューター
- シューター+DF[枝]
- 枝
正直枝だけ見ることはないです。
日本では「よく枝をみろ!」と
指導していることが多いみたいです。
優先して指導すべきは
「シューターのみ」を見る方法です。
なぜなら
2つ同時に見て
打たれる前か後のどちらで動くのかを判断して
シュート方向へ移動するのは難しいからです。
「シュート方向への移動」をするために
GKがやることを制限する。
これが初心者に優先して指導する方法です。
高校途中から大学に指導するなら
「シューター+DF[枝]」です。
③ゴールの高さを低くする[環境適応]
この画像のように
横幅は同じまま、高さを下げています。
カテゴリーや大会、GKの身長によって
高さを変えます。
チームの基準としては
GKが手を真上に伸ばした時に
触れるくらいの高さです。
なぜ高さを変えるのか?
[目的]
シュートへの移動を左右のみに絞るため
シュート方向に行くことができない
一つの理由は
動く方向が4択だからです。
上右 上左 下右 下左の4択です。
「シュート方向に移動する」ためには
左右を合わせることを重視しなければならない。
「失点する」ことは
GKにとって大きなストレスです。
シュートの方向が合っていることは
それまでの判断や動き、視点などの
「過程」があっていることを指します。
しかし、上を打たれて失点すると
過程があっているのに
間違いだと認識してしまう可能性が高くなります。
止めようとして動く方向が
シュート方向の左右ではなく
上に対して跳ぶようになります。
左右の飛距離が足りなくなり
本来優先して指導したい内容の習得が
難しくなります。
上下の身長に合わせた
ゴールの大きさの設定が必要です。
- GKに成功体験を増やすこと
- GKがシュート方向の左右に
大きく移動するようになる - シューターが駆け引きによって
ゴールの空いているスペースを作る
原則をもとに身長が大きく、スキルを覚えたプロがどうなるのか
このような動きになります。
注目すべきは足です。
横移動している→角まで届いています。
190cm以上の身長[19歳以降]
→シュート方向への移動のみで角に届く
スキルの精度[16歳以降]
→無駄なく面を広げるスライディング
原則「シュート方向への移動」[14歳以降]
→当たる確率が上がる
結論:シュート方向へ移動する=プロでも通用する初歩的な動き
初心者からシュート方向に移動し
プロで適切な身長とスキルを身につけると
守れるようになります。
170cm→届かない部分が
195cm→届くことが多くあります。
そのGKが身長が高くなった時に
プロに進む時に必要な「止めるための原則」を
下部組織の時から教えています。
GK指導する上で大事にしていること
GKを指導する上で
「GKは10年単位で育成するポジション」
このことを常に意識しています。
10年という期間の中で
約3年単位で指導内容を大幅にかえ
「育成」指導しなければならないと考えてます。
自分のドイツでのチームでは
14歳から16歳の内容
17歳〜19歳の内容
20歳以降のプロの内容と分けていました。
自分は
年齢をはっきり分けるのではなく
選手の能力や置かれている環境に応じて
臨機応変に指導内容を変えます。
例えば
大阪浪商中学2年[14歳] 坂本選手には
17歳以降の内容を指導しました。
アランマーレでは2022-23シーズンでは
14歳〜16歳の内容を指導しました。
自分の中に指導の基準を作り
選手の個性を活かしながら
適切かつ能力に合わせた指導を心がけています。
指導者に知ってもらいたい10年間の指導内容
過去のオンラインセミナーにて
これらのGK育成指導について話しました。
【第2回1.2.3】
・14〜16歳のGKの基礎育成について
・16〜19歳の4つの国の育成について
・プロが行うマルチスタイルについて
より詳しく知りたい方は
こちらの試聴をお願いします。